尤もそないしてるうちに幾分か落ち着いて来たらしゅう、もうさっきのように苦しがらんようになりはったのんで、まあこの分ならお医者はん呼ばいでもよかった思うと、その時だけはほんまにほっとして助かったような気イしましてん。
そんな工合で私は傍離れること出来しませんよって、「お便所汚れてるさかい直ぐ掃除しといて」いうて女子衆下いやってしもてから、何ぞ薬でも思いましてんけど、「いらん、いらん」と、イヤイヤしなさって、「姉ちゃん帯ゆるめてエな」いいなさるのんで、帯ほどいたげたり、血イの附いた足袋脱がしたげたり、アルコールと脱脂綿持って来て手エや足拭いたげたりしましたのんですが、そのうちにまた発作起って、「くるしいッ、くるしいッ、水、水、……」いいながらシーツや枕手あたり次第に掻きむしって、体を蝦のように曲げて悶えなさるのんです。
私はコップに水酌んで来て、えらい暴れてて飲まされしませんのんを無理におさえつけながら口移しに飲ましたげると、おいしそうに喉をぐいぐいいわしながら、飲んでしまうとまた、「くるしい、くるしい」いうて、「姉ちゃん、後生やよってにあての背中の上い載ってぎゅッと押してエな」いうたり、何処を揉んでほしい、彼処を撫でてほしいいうのんで、いわれる通り揉んだりさすったりするのんですけど、ちょっと直ったか思うとまた直ぐ「痛い、痛い」いうて、なかなか治まりそうもあれしません。