本降りにならん間にはよ下りよ」いうて、慌てて山下りてしまいましたら、ほんのバラバラ落ちただけでもうちゃんと止んでしもてますねんがな。
「こんなぐらいやったらもっといてたらよかったなあ。
「ほんまに、何ちゅう意地悪い雨やろ」いいましてんけど、下りてみたら俄かに二人共お腹減って来ましたのんで、「ちょうどお茶の時間やさかい、ホテルいでも行てサンドウィッチたべよか」いいますと、光子さんが「あてええとこ知ってる」いいなさって、大軌の直ぐ傍にある新温泉い行って、――彼処は私初めてですねんけど、宝塚と同じような家族温泉や何やあって、光子さんはちょいちょい行きなさると見えて、仲居さんの名アやら、中の勝手やら、よう知ってなさるのんです。