綿貫の考では、光子さんちゅう人は異性の愛より同性のの方が好きで、綿貫より私の方がずっと愛されてて、そのために結婚したがれへん。
――子供出来たり、結婚したりしたら、私が逃げてしまうかも分れへん思て、一日延ばしに延ばしといて、そのうちにお腹の児ええようにするとか、綿貫にイヤ気おこさすとか、どないぞしよう思てる。
――私はひがんでるせえか、どないしても自分の方がそない愛されてる思えしませんのに、「いや、そうです、たしかにそうです、お姉さんは仕合わせです」いうて、「ああ、ああ、それに引きかえて僕は何ちゅう不幸な運命の下に生れたのんでしょう」と、芝居のセリフみたいに節つけていいながら、泣きそうな顔するのんです。