私の方が綿貫よりずっと愛されてる?
まあ、そんなこと、夢やないのんか?
――つい昨日までは二人のために玩具にしられてる思い込んでたのんに、急に形成変ってしもて、まるきり狐につままれたみたいな気イしましてんけど、そいでも綿貫のいうたこといろいろ考えてみましたら、好きと違たらあんな騒動するはずないいうのんもほんまやし、そやなかったらちゃんとした人ありながら私と会ういう訳ないし、――それに、今になってから初めごろのことだんだん思い出してみますと、あの観音様のモデルのことでやかましい噂立った時分、光子さんかて私がどんな気持でいたか大方素振りでも察しついてたですやろし、道ですれちごた時やかいに「この人うちに気イあるねんなあ」思て、今に誘惑してやろと待ち設けてなさったのんかも分れしませんねん。