まあ、そんなこと、夢やないのんか?
――つい昨日までは二人のために玩具にしられてる思い込んでたのんに、急に形成変ってしもて、まるきり狐につままれたみたいな気イしましてんけど、そいでも綿貫のいうたこといろいろ考えてみましたら、好きと違たらあんな騒動するはずないいうのんもほんまやし、そやなかったらちゃんとした人ありながら私と会ういう訳ないし、――それに、今になってから初めごろのことだんだん思い出してみますと、あの観音様のモデルのことでやかましい噂立った時分、光子さんかて私がどんな気持でいたか大方素振りでも察しついてたですやろし、道ですれちごた時やかいに「この人うちに気イあるねんなあ」思て、今に誘惑してやろと待ち設けてなさったのんかも分れしませんねん。
そないいうたら二人が始めて物いうたのんも、いい出したのんは私ですけど、いつでも済ましてなさるのんにニッコリ笑いなさったのんで、つい釣り込まれて口きいたのんやし、裸体の姿見た時にしたかて、見せてくれいうたのんは私ですけど、そないいわすように持ちかけなさったのんやし、――ぜんたい私、なんぼ光子さん崇拝するいうたかて、どんなことから今みたいな仲になってしもたのんか、それにはいろいろ夫に対して不満あったとこい、学校であんな噂立てられたのんが反動的に作用したこともありますやろが、私にそんな可能性あること見抜いて、知らん間アに暗示かけてなさったのんかも分れしませんし、それ考えたらあのM家との縁談の事にしたかて口実みたいに思われますし、――なんせ自分の仕掛けた罠い私おとしいれながら、うわべはいつでも私の方から手エ出した形にさされてたいう気イしますねん。