――そない思たら、だんだん疑がいも濃うなって来るのんですけど、そいから四、五日たった或る日、またろうじの外で待ち受けてて「ちょっと、ちょっと、……」いうて、「僕今日お姉さんに相談したいことあるのんですが、『梅園』まで来てくれませんか」いいますよって、一緒に附いて行きましたら、二階の座敷い上って行って、「ただ口でばっかりきょうだいの約束するいうても、お姉さんかてなかなか僕を信じるいう訳に行きますまいし、僕かてやっぱり何や心配ですさかい、お互に疑念残らんように誓約書交そうやありませんか。
実はそのつもりでこんなもん書いて来たのんですけど」いいながら、懐から二通の証文みたいなもん取り出すのんです。
……あ、そう、そう、ちょっとこれ見て下さいませ、これがその時の誓約書ですねん。