そんで私、「サインするのはしてもええけど、判持ってエしません」いいましたら「きょうだいの約束するのんに普通の判では役に立てしません、お気の毒ですけど、ちょっとばかり痛いのん辛抱してくれませんか」いうて、ニヤニヤ笑いながら袂の中から何か出すのんです。
その二十
「どうぞ此処のとこ出して下さい、痛いいうてもほんちょっとの間です」いうてるうちにもうシッカリ手エ握ってて、指の先か思てましたら、肩の方まで袖まくり上げて、二の腕の上と下とをハンカチで括ろとするのんで、「判おすのんにそんなことせえでもええやあれしませんか」いいましたら、「判おすだけと違います。