それどないして出来たのんか、ほんまのこというて頂戴」いいなさって、「隠したかて大概分ってる、姉ちゃんはあてに内証で何ぞ栄ちゃんと約束したことあるねんなあ?
――そら、光子さんいうたらそういうことには早う気イ廻るのんで、そない図星刺されたらもう惚けること出来しませんけど、そいでも真っ青になりながら黙ってますと、「きっとそうに違いないやろ?
なんでそれいうてくれへん」いうて、――だんだん聞いてみましたら、きのう綿貫はあれから帰りに、腕の傷コッソリ光子さんに見られてしもてて、その時から何ぞ訳あるのんやなあと思てた、そないに二人同じ日に同じとこへ傷出来るはずあれへんいいなさって、「姉ちゃんはあてと栄ちゃんと孰方が大事や」とか、「隠す以上はあてに知れたらいかんことあるねんやろ」とか、しまいには私と綿貫との間にイヤなことでもあったように「それ聞かんうちはどないしても帰せへん」いいなさるのんですが、そんな時にも光子さんは一杯涙ためたなりじっと落ち着いてなさって、恨めしそうに睨んでなさるだけですねんけど、その眼エえらい妖艶で、何ともいえんなまめかしい風情あって、「なあ姉ちゃん」いいながら甘えるようにその眼エ使われたら、なかなか魅力に逆らういうこと出来しません。