尤もそないいうてるだけで、ほんまは極道したのんかも分れしませんけど、とにかくそいからその娘さんえらい綿貫憎んでて、――そら考えたら可哀そうでもありますねんけど、そんなんやったら人に交際求めたりイヤらしい手紙くれたりせなんだらええのんに、「あんたは理想の妻や」とか何とか巧いこというてたばっかりやない、散歩いうたらきっと暗いとこい連れて行ったりしたのんは、今から思たら自分がそんな体やさかいそないな事で満足してたのんで、つまりいうたら恋愛の仮面被って人玩具にしてたのんや。
けど綿貫はそういう時に、「僕は結婚せん先に肉体的の関係結ぶいうのん罪悪や思います」いうのんで、しッかりした人や思て感心してたのんがなお腹立つ。
そいでその娘さん「どうぞ秘密にしてやって下さい」いわれてましてんけど、口惜しまぎれにいろいろな人にしゃべったところが、外にもそんな目エに遇うた人たあんとあるいうこと分って来て、それが綿貫は、自分がええ男で異性に好かれるいうことよう知ってますさかい、何処いでも女の集りそうなとこいずうずうしいに出て行くのんで、誰でも一ぺんは引っかかりますねん。