……はあ、そらもう綿貫ちゅうたら、そんな工合に議論し出したらなんぼでも都合のええ理窟ならべて、つべこべつべこべ果てしないのんです。
そいでいいますのんに、光子さん死にやはるのんやったら、自分かて一緒に死ぬのん躊躇せえへんねんけど、自分は死ぬだけの理由見つかれへん、ここで死んだら、ふん、あの男、不具者やいうこと悲観して死によったいわれるのん口惜しい。
自分はこれぐらいのことで死ぬような意気地なしやあれへん、なんぼでも生きてて、立派な仕事して、普通の人間よりずっと偉大な超人やいうこと見せてやりたい、光子さんかて死ぬぐらいな決心するのんやったら、自分と結婚してくれたらええやないか、今もいう通り、自分みたいなもん夫にするのん恥や思うのん間違うてるし、一層高尚な精神的結婚やいうように考えたら、――尤もそないいうたとこで世間の奴らは理窟分らんと、いろいろな妨害するやろさかい、自分がこんな人間やいうこと無理にこっちから広告して歩かいでもええ、一人や二人噂するもんあったにしたかて、誰もちゃんとした証拠握ってるもんないねんよって、もしもそんなこと尋ンねるもんあったら、完全に一人前の男やいうてて欲しい、――それが考えたらほんまに矛盾してますのんで、「ちょっとも悲観することない、超人や」いうぐらいやったら、何にもそないに秘密にせんかて大手振って歩いたらええのんに、何は措いても邪魔這入らんうちに無事に結婚してしまお、それが第一の目的やさかいその目的果たすためには世間欺すいうこともやむをえん、自分らは誰にも退け取らんいうことお腹の中でさい承知してたら差し支いないいいますねん。