会うたあとではいつでも後悔しなさって、ああ、ああ、自分は仰山の女の中でも人に羨ましがられる器量持ってながら、あんな男に見込まれるやなんて何ちゅう情ない身の上やろ、もうもう止めてしまいたい思いなさるのんですけど、そら不思議と、また二、三日も立つうちに自分の方から跡追い廻すようになってしまう。
そうかいうて、それほど綿貫恋しいのんかいうたら、精神的にはええ思うとこ一つもない、顔見るのんさいムカムカするような気イして、卑しい奴ッちゃ、見下げ果てた奴ッちゃ、いう風に、お腹の中では常時激しいに軽蔑してる。
そいで毎日のように会うてることは会うてるけど、二人の気持シックリすることめったにのうて、いつでも喧嘩ばっかりしてて、その喧嘩いうのんが、自分の秘密人にしゃべったやろとか、いつまで待たす気イやとか、例のキマリ文句で、愚にもつかんようなこと取り上げては疑がい深いにちゃにちゃした口調でいいますのんで、……光子さんかて、そない厭がること用もないのんに人に話したら綿貫だけの恥やあれしませんし、そんなくらいなこといわれいでも分ってましてんけど、そうかてお梅どんだけにはいわんちゅう訳に行かんのでいいなさったのんを、「何で女子衆みたいなもんにしゃべった」いうて、その時ばっかりはえらい喧嘩になって、光子さんもちょっとも負けてんと、「あんたは偽善者や、いうこととすることとまるきり違てるうそつきや。