――それが、あの日の昼、私のとこい来なさる前に三越い買い物に行きなさったら偶然綿貫に会いなさったのんで、こいから柿内の姉さんとこ行て帰りにずっと笠屋町い廻るさかい待ってて欲しいうて別れなさった。
そいで綿貫は揃いの着物着てなさったこと知ってましたよって、こりゃええ機会や、あの着物ないようにしてやったらどうしても私のとこい電話かけるようになる、そしたら私かて愛憎尽かすやろいうように考えて待ってる間にあの家のもん買収してこないこないせえいうといた。
――綿貫やったらそのくらいのこと企らまんとも限らんし、企らむだけの時間もあった。