あてぐらい不仕合せなもん世の中にあるやろか。
――そないいいながら私の膝の上い打つ伏しなさって、涙でそこがびしょびしょに濡れるぐらい激しいに泣きなさるのんで、あんまりのことに何ちゅうて慰めたげたらええのんやら、――なんせ私の知ってる今日までの光子さんいうたら、花やかで、勝ち気で、いつもプライドに充ちた眼エ耀やかしてなさって、そんな辛い思いしてなさったとはちょっとも見えしませんのに、その高慢な、女王みたいにエラそにしてなさった人が、プライドも何にも放ってしもて泣き崩れてなさる様子だけでも、ほんまに思いの外ですねん。
光子さんにいわしたら、自分は強情張りやよってどない苦しいことあっても人に見透かされんように努めて来てんけど、そいでも姉ちゃんいうもんなかったらもっと陰気になってたやろのんに、姉ちゃんのお蔭で暗い運命に打ち克つだけの勇気出た、いつでも姉ちゃんの顔さい見てたら気が晴れ晴れして一切のこと忘れてたけど、今日ちゅう今日はどういう訳か悲しい思い込み上げて来て、意地にも辛抱出来んようになって、長いあいだ怺えてた涙の堰が一ぺんに切れた。