第一人の女房とこんなもん取り交しといて、その女房の亭主の前いれいれいしいに見せつけながら、それに対する一言のいい訳もせんと、まるで刑事が犯罪の証拠掴んだみたいに得意そうにニヤニヤしてるこの男の気イ知れん思たら、一層むかむかして来たとこい、「あんたは此処に署名したあるのん、あんたの奥様の手エやいうことお認めになりますやろなあ」いいますのんで、「なるほど、見たとこではたしかに家内の手エのようですが、それより先に伺いたいのんは、ここに署名してる男は何処の人です」いうてやったら、「それは僕です、僕が綿貫自身です」いうて、まだその皮肉悟らんみたいに平気な顔してる。
「この署名の下に捺してあるもん何ですか」いうたら、それはこないこないの訳でと臆面ものうその時のこと細こうに話し出すのんで、みんなまで聞かんうちに腹立って来て、「これ読んで見ると、あんたと、光子さんと、園子との関係は委しいに規定してあるが、園子の夫である私については何の考慮も払われておらん。
私ちゅうもんは全然眼中に置かれてん。