それ考えたら僕は危険がもう眼の前い迫ってる気イして、夜もおちおち寝られへんのんです。
――そないいうて、「どうぞ、どうぞ、お願いします」と、額をテーブルい擦りつけるようにして、「そういう訳ですから、自分の都合のええことばっかりいう勝手な奴やとお思いになりますやろけど、僕の窮境察して下さって、これから後、どんな事あっても園子さん逃がさんように責任持って監督する、そいでもまさか括り着けとく訳にも行けしませんさかい、逃げられることないとは限りませんけど、そないなっても追いかけて行ってきっと家い引き戻すいうこと約束して下さい。
それさい『うん』いうて下さったらこの書付お預けします」いうて、「今更こんなこと念押さんかて、あんたは園子さん非常に愛してなさる、決して離縁しなさらんことはよう分ってるのんですが、それを一と言あんた御自身の口から聞かして欲しいのんです。