それさい『うん』いうて下さったらこの書付お預けします」いうて、「今更こんなこと念押さんかて、あんたは園子さん非常に愛してなさる、決して離縁しなさらんことはよう分ってるのんですが、それを一と言あんた御自身の口から聞かして欲しいのんです。
あんたかて僕を哀れんで下さったら、お腹の中でちゃんときまってるこというて下さってもええやありませんか。
――夫はそれ聞いてるうちに、つくづくこの男イヤ味な奴ッちゃ、初めからもっと素直に、人の感情害さんようにいえるもんを、わざとほじくり返すような余計なこというて、顔色見い見い態度いろいろに変えたりして、何ちゅうけったいな男やろう、これなら女に好かれるはずないよって、光子さんかて厭になんなさったかも知れん、よっぽど損な性質に生れついた人間や。