――夫はそれ聞いてるうちに、つくづくこの男イヤ味な奴ッちゃ、初めからもっと素直に、人の感情害さんようにいえるもんを、わざとほじくり返すような余計なこというて、顔色見い見い態度いろいろに変えたりして、何ちゅうけったいな男やろう、これなら女に好かれるはずないよって、光子さんかて厭になんなさったかも知れん、よっぽど損な性質に生れついた人間や。
そない思たら今度はほんまに可哀そうになって来て、「そしたらあんたも、この書付将来明るみい出すようなことせんいうて誓うてくれますか、そして僕が必要と認めるあいだ保管さしといてくれますか、それ承知なら、僕もあんたの条件容れてもよろしいです」いうたら、「この書付は、そこにも書いてある通り双方合意の上でないと人に見せられんようになってるのんですが、既に園子さんの方に背信行為あったと認めますのんで、僕があんた方困らしてやろいう気イあったら、これ種にしてどんな事でも出来んことあれしません。
けど僕そんな卑怯な真似する人間でないことは、これわざわざあんたのとこい持って来てお預けするのでも分るやありませんか。