それが、夫が綿貫に会うたのんは四、五日前のことですのんに、そいから今日まで知らん顔して事件伏せといたいうのんは、何や綿貫いう奴の素振り怪しい、何ぞもっと深い訳あるのんやないかいう気イしたのんで、私に打つかる前に一往取り調べてやろ思て秘密探偵に頼んだとこが、そんな商売大阪にかって仰山あれしませんさかい、こないだ光子さんが頼みなさったのんと同じとこい行ってしもたのんで、「その人なら大概のこと分ってます、前に調べたことあります」いうで、その場アで直きに答えてくれた。
そいで綿貫が訪ンねて来た日の夕方には、もう一と通り種上ってしもてたのんですが、夫はあんまり意外やのんで同名異人の間違いやないか知らん思いましてんけど、探偵の方には光子さんとのいきさつまで分ってて疑がう余地あれしませんし、……そないなって来ると、今度は光子さん妊娠してなさるいうことや、笠屋町の家のことや、私と光子さんとの関係や、なんとも腑に落ちんことだらけですよって、また改めて光子さんの方調べさした。
その報告の届いたのん今朝のことで、そいでも夫はまだ半信半疑でしたさかい、自分で様子見て来てやろ思てさっき不意に笠屋町訪ンねてやったいうのんです。