何処い出しても恥かしない器量自慢の娘持ってて、あんな奴に見込まれるやなんて、僕とこよりも一つ不仕合わせや。
……」夫は私の激しやすい性質に逆ろうたらいかん思てますのんで、理性に訴えるより感情的に動かすよう努めてて、それが一種の手エやいうこと見え透いてますねんけど、親のことやかい持ち出されて、殊に光子さんのこと、そないに不憫らしゅういわれましたら、自分の胸に思てることと一緒やのんで、急に悲しいになって来て、眼エに一杯涙溜め溜め聞いてますと、「なあそやないか?
と夫は涙で光ってる頬べた視詰めながら、「泣いてばっかりいてても分れへんさかい、よう分別して、今度こそ最後の、うそのないお前の考いうてみなさい、僕はお前がどうしても家出するいうのんなら、そら仕方ない思てる。