そいで明くる日は一日事務所休んでしもて、御飯も二階に運ばすようにして、じっと睨み合いしたなり、ときどき顔色うかごうては、「こないしてたら体つづけへんさかい、一と寝して頭休めてから、ゆっくり考え直して御覧」とか、「とにかく死ぬやの家出するやのいうこと、思い止まるいう約束してくれ」とかいいますねんけど、私は黙っていやいやして見せるばっかりで、心のうちでは、此処まで来たらもう大丈夫や思てましてん。
ところがそのまた明くる日の朝、夫はどうしても一時間か二時間事務所い出んならん用あるのんで、留守の間は絶対に外い出エへんし、電話もかけへんいうこと誓うか、それイヤやったら大阪い連れて行くいいますよって、「うちかてあんた一人で出したら心配やさかい附いて行きます」いいましたら、「何が心配やのんや」いいますのんで、「うちに内証で徳光さんとこいいいつけ口でもしに行かれたら、それこそ生きてられへん」いいますと、「僕かってそんな、お前に納得させへんうちに無断で不意討ち喰わすようなこと絶対にせエへん。
僕がそれ誓たらお前も誓うてくれるか」いいますねん。