それに夫から、大阪に着いたら直ぐ電話かかって、そいから三十分置きぐらいにチョイチョイかかって来ますさかい、何や知らん気分落ち着かんと、部屋の中往ったり来たりしながらいろいろなこと考えましたら、そのうちにふっと思いついたいうのんは、毎日々々こんな工合に根競べしてたら、綿貫がどないなわるさせんとも限らんし、光子さんかて、一昨日あんなり別れてしもてどない思てるか、昨日かて一日待ってはったやろ。
どうせ口先で「死ぬ、死ぬ」いうたぐらいでは威嚇し利けへんさかい、いっそ早よ埒明くように、それもあんまりえらい騒ぎにならんように、奈良とか京都とか、何処ぞ近いとこへ逃げたらどやろ。
そいでお梅どん頼んで、わざとビックリしたみたいに夫のとこへ駈け込んでもろて、「今お宅の奥さんと家のとうちゃんと何処そこい逃げはりました。