……と、そない思いましてんけど、外い出る訳に行けしませんさかい、「あのなあ、委しい話会うてからするよって、大急ぎでちょっと家まで来てほしい」いうて電話で光子さん呼んどいて、「旦那さんにいうたらいかんで」と、女子衆に口止めしといて待ってましたら、そいから二十分ぐらいして来やはりましてん。
電話かかって来るうちは夫大阪にいるちゅうこと確かやのんで、かいって安心ですねんけど、そいでも不意に帰って来たら裏口から出てもらお思て、光子さんの日傘と草履庭の方い廻しといて、逃げる時の用心に下の座敷で会うたのんですが、光子さんは初めから心配そうな青い顔して、昨日一日見なんだ間にえらい窶れてなさって、私の話聞きなさるともう涙ぐみながら、「そしたらあれから姉ちゃんの方にもそんなことあってんなあ」いいなさって、自分もあの日イの夕方から昨日にかけてさんざん綿貫にいじめられた。
綿貫のいうのんには、「あんたと姉さんとグルになって僕欺そうとしてるさかい、僕の方もその裏掻いてこないだ今橋の事務所い行って、姉さんのことみんな柿内氏に話して来てやった。