まさか綿貫かて、いよいよあかんいう見きわめも付かんと自分の損にもなるようなことせエへんやろけど、こないなって来たらなおのこと夫味方に入れるのん第一やいうのんで、そいから私の考えてた計略実行することになりましたのんですが、光子さんは「何処ぞ近いとこへ逃げるのんやったら、あて所の浜寺の別荘がええし」いいなさって、彼処は今年留守番の夫婦行てるだけやさかい、海水浴して来るいうてお梅どん連れて行くのんなら、四日や五日泊ってたかてちょっとも家の方心配ない。
そいで私の方はそうッと此処の家抜けて出て、難波駅で光子さん待ち合わして、三人で浜寺い着く時分には、夫は私のいんようになったのん気イ付いて、何は措いても光子さんの家い電話かけるにきまったある。
そしたら直ぐ居所分って浜寺の方いまたかけて来る。