その時光子さんは両親に宛てたのんと、私の夫に宛てたのんと、二通の書き置き出して見せなさって、「これ読んでみて頂戴」いいなさるのんで、私も書いといたのん出して互に読み比べてみましてんけど、それかてほんまの書き置きのつもりで、殊に私の夫に宛てたある光子さんの手紙には、「あんたの大事な奥様一緒に連れて行くのん何とも申訳ありません。
これも運命や思てあきらめて下さい」と、夫が読んだら恨みも忘れて心動かすに違いないように書いたありましたさかい、それ眼エの前い置いて見る自分らまでが本気にさせられて、もうどないしても死んで行くもんとしか思われしません。
そないして一時間ぐらいたってしまいましたら、パタパタと庭下駄の音してお梅どん駈け込んで来て、「とうちゃん。