さあ、もうぐずぐずしてられへん」いうて、そいからもう一度別れ惜しんで、互にぶるぶる顫てる手エ振り合いながら薬飲みましてん。
完全に意識失うてたのんは半日ぐらいの間らしいて、その晩の八時頃にはときどき眼エ開いてあたりキョロキョロ見廻したりし出したいうこと、あとで聞きましたのんですが、私自身ではその後二、三日ちゅうもん一つもハッキリした記憶ないのんで、……何やこう、頭抑えつけられるような、胸苦しい、ムカムカ吐き気するような感覚が、枕もとに据わってる夫の姿とごちゃごちゃに幻影みたいに眼エに映ってて、つまりその間が数限りもない夢の連続になってますねん。
私と、夫と、光子さんと、お梅どんと、四人が何処ぞい旅に出かけて、宿屋の一と間に蚊帳吊って寝てて、それが六畳ぐらいの狭い座敷で、同じ蚊帳の中に、私と光子さん中に挟んで両端に夫とお梅どん寝てる。