そいでも後になってからの話に、「あて知らん間アに、傍にいる人を姉ちゃんと間違うたのんや」と、そない自分でいやはりますのんで、それやったら罪は夫の方にあることになるのんですが、夫の自白聞きましたら、二日目の昼過ぎお梅どん母家の方い行ってて、夫は私の寝顔見ながら団扇で蝿追うてた、そしたら光子さんが寝惚けたように「姉ちゃん」いいながら私の方い寄って来うとしなさるのんで、眼エ覚まさしたらいかん思て、間い這入って光子さんの体抱き上げるようにして引き離して、枕外しなさったのんを直したげたり、掛け布団掛けたげたり、……そんな風にして、寝てはるとばっかり思い込んで油断してましたさかい、知らず識らず、気イ付いた時にはもうどないしても逃げること出来んようにしられてた、何せ夫ちゅうたらそないな事にかけたら経験のない、子供みたいな人ですよって、私は夫の話の方がほんまに違いない思いますねん。
その三十一
まあ、そんなこと、どっちが先や詮議立てしたとこで無駄ですねんけど、一ぺん間違いあってからは、私に済まん思いながら同じ過ち繰り返してたらしいのんで、それ考えたら全然夫に責任ないともいわれしませんのんですが、私としたらその点に同情出来るいうのんは、前にもたびたびいいました通り、夫と私とは肌合エへんのんで、私がいつも愛の相手外に求めてたように、夫にしたかて無意識のうちにそれ求めてたのんに違いあれしません。