さてその明くる日から夫は光子さんの家の方の諒解運動と、綿貫の方の解決とにえらい奔走し始めたのんです。
先ず第一に徳光さんとこい行て、お母さんに面会求めて、僕はお宅のお嬢さんの親友である園子の夫として、お嬢さんから頼まれたことある。
実はお嬢さんは悪い男に付け狙われてなさって、……と、そんな工合に切り出して、尤もその男はこないこないの人間やのんで、お嬢さんの貞操は汚されてエへん、ただその男ちゅうのんが卑劣な奴で、お嬢さんがその男の種宿してなさるやとか、お嬢さんと僕の妻とが同性愛やとか、跡形もないこといい触らして、強制的に証文に判つかしたりしましたさかい、今にお宅の方いも脅迫がましいこというて来るかも分れしませんが、絶対にそんなことお取り上げになったらいきません。