一つ家にいてたら安心やよって、邪魔やねんやったら階下い行ててもええ」とか、「お前は二人ぎりでいてる時間あるのんに、僕にはちょっともないいうこと察してくれんと困る」とか、だんだん問い詰めると、「ほんまは光ちゃん『電話かけたのんに何で早よ帰って来えへんねん!
姉ちゃんの方がよっぽど実意ある』いうて怒りやはるねん」いいますねん。
いったい光子さんの焼餅ちゅうのんが、何処までが本気で何処までが手管か分れしませんねんけど、それがまたいかにも気違いじみてて、たとえば私の夫のこと「あんた」いうたらもう眼エに涙溜めはって、「今では夫婦でもないのんに、あの人のこと『あんた』いうたらいかん」いいなさって、人のいる前ではともかくも、内輪では何ぞ外に呼びようあるやろ、「孝太郎さん」とか、「孝ちゃん」とか、いうて欲し、夫にしたかて私のこと「園子」やの「お前」やのいわんと、「園子さん」いうか、「姉さん」いうかせないかん、それぐらいはまだええとして、睡眠剤と葡萄酒持って来なさって、「二人ともこれ飲んで寝なさい、あてあんたらの寝ついたん見てから行ぬ」いうて聴きなされしません。