それで枕もとの壁にあの観音様の画像飾って、三人寄ってお線香上げて、「この観音様の手引やったら、あて死んだかて幸福や」と、私がそないいいましたら、「僕ら死んだら、この観音様『光子観音』いう名アつけて、みんなして拝んでくれたら浮かばれるやろ」と夫もいうて、彼の世い行ったらもう焼餅喧嘩せんと仲好う脇仏のように本尊の両側にひッついてまひょと、光子さん真ん中に入れて枕並べながら薬飲みましてん。
……はあ?
そら、そうですねん、何でその時、私だけ一人残されるいうこと思いましたやろ、明くる日眼エ覚ました時にも、直きに二人の跡追おう思いましてんけど、ひょッとしたら、生き残ったん偶然やないかも分れへん、死ぬまで二人に欺されてたのんやないやろかいう気イしましたら、あの手紙の束預けなさったことにしたかて疑がわしいになって来て、折角死んでも彼の世で邪魔にしられるのんやないかと、ああ、……先生、(柿内未亡人は突然はらはらと涙を流した。