子供がいればその右左へかけるけれども、そうでなかったら大概の場合、一人が腰をおろすのを待って一人が反対の側の方へ席を求める。
夫婦は互に衣を隔てて体温を感じ合うことが窮屈であるばかりでなく、今では寧ろしてはならないことのように、不道徳なようにさえ思うのである。
そして一つの車室のうちに向い合って置かれるだけでも相手の顔が邪魔になるので、美佐子はいつも眼の向けどころを作るために何かしら読む物を用意していて、席がきまると直ぐに自分の鼻先へ屏風を立ててしまうのである。
子供がいればその右左へかけるけれども、そうでなかったら大概の場合、一人が腰をおろすのを待って一人が反対の側の方へ席を求める。
夫婦は互に衣を隔てて体温を感じ合うことが窮屈であるばかりでなく、今では寧ろしてはならないことのように、不道徳なようにさえ思うのである。
そして一つの車室のうちに向い合って置かれるだけでも相手の顔が邪魔になるので、美佐子はいつも眼の向けどころを作るために何かしら読む物を用意していて、席がきまると直ぐに自分の鼻先へ屏風を立ててしまうのである。