蔵前の家から俥の上を母の膝に乗せられて木挽町へ行った五つか六つの頃、茶屋から母に手を曳かれて福草履を突っかけながら、歌舞伎座の廊下へ上るときがちょうどこんな工合であった。
子供の彼は矢張足袋の底に冷めたい板の間を蹈んだ。
そう云えば旧式の芝居小屋は木戸口をくぐった時の空気が妙に肌寒い。
蔵前の家から俥の上を母の膝に乗せられて木挽町へ行った五つか六つの頃、茶屋から母に手を曳かれて福草履を突っかけながら、歌舞伎座の廊下へ上るときがちょうどこんな工合であった。
子供の彼は矢張足袋の底に冷めたい板の間を蹈んだ。
そう云えば旧式の芝居小屋は木戸口をくぐった時の空気が妙に肌寒い。