「奥様、おみあが痛いことおへんか?
どうぞ此方へお出しやして、………」
気のいいお久は窮屈な升の中でまめまめしく茶を入れたり、菓子をすすめたり、何を云っても振り向きもしない美佐子を相手にときどき話しかけたりして、その合い間には、うしろへ右の腕を伸ばして煙草盆の角に載せられた杯のふちへ手をかけている老人に、なくなる頃を見はからってはそうっと酒を注いでやっている。
「奥様、おみあが痛いことおへんか?
どうぞ此方へお出しやして、………」
気のいいお久は窮屈な升の中でまめまめしく茶を入れたり、菓子をすすめたり、何を云っても振り向きもしない美佐子を相手にときどき話しかけたりして、その合い間には、うしろへ右の腕を伸ばして煙草盆の角に載せられた杯のふちへ手をかけている老人に、なくなる頃を見はからってはそうっと酒を注いでやっている。