自分も彼女が長居をしたくないことは知っている、云われないでも潮時を見て器用に切り上げるつもりだけれども、折角呼ばれて来ているものを、せめて父親の手前だけは機嫌よくして、夫の処置に任せてくれたら、―――それくらいは夫婦らしく、気を揃えてくれたらいいのに。
「今からだと、ちょうど時間の都合もいいし、―――」
彼女は夫の顔色には頓着なく、七宝入りの両蓋の時計をキラリと胸のところで開いた。
自分も彼女が長居をしたくないことは知っている、云われないでも潮時を見て器用に切り上げるつもりだけれども、折角呼ばれて来ているものを、せめて父親の手前だけは機嫌よくして、夫の処置に任せてくれたら、―――それくらいは夫婦らしく、気を揃えてくれたらいいのに。
「今からだと、ちょうど時間の都合もいいし、―――」
彼女は夫の顔色には頓着なく、七宝入りの両蓋の時計をキラリと胸のところで開いた。