「さあ、どうどす、お腹空いてましたらたべとおくれやす、ほんまに味のうおすけれど、………」
幕が終るとお久がそう云って重箱の物をめいめいに取ってくれたが、要はまだ眼にちらついている小春やおさんのおもかげに名残りを惜しまれる一方、老人のお談義が直きに例の「鬼が栖むか蛇が栖むか」へ落ちて行きそうな形勢なので、幕の内を摘まむあいだも気が気でなかった。
「それではあの、戴き立ちで甚だ勝手なんですが、………」
「さあ、どうどす、お腹空いてましたらたべとおくれやす、ほんまに味のうおすけれど、………」
幕が終るとお久がそう云って重箱の物をめいめいに取ってくれたが、要はまだ眼にちらついている小春やおさんのおもかげに名残りを惜しまれる一方、老人のお談義が直きに例の「鬼が栖むか蛇が栖むか」へ落ちて行きそうな形勢なので、幕の内を摘まむあいだも気が気でなかった。
「それではあの、戴き立ちで甚だ勝手なんですが、………」