谷崎潤一郎 『蓼喰う虫』 「後生ですから、もう少し向うへ行っていて頂戴」 「臭かったら、鼻を摘まんでいらっしゃいよ」 そう云って片手でぱっぱっと煙を吐きながら、もう好い加減屑屋へ売っても惜しくなさそうな旅行擦れのしたスーツケースを、寝台の上へ一杯にひろげた。 谷崎潤一郎の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア