そもそもの起りはざっと二年も前のことである。
或る日大阪から帰って来ると、ヴェランダで妻と相対している見馴れない一人の客があって、「阿曽さんという方」と美佐子が簡単に引き合わせた。
と云うのは、夫は夫、妻は妻で、めいめい交際の範囲を作って自由な行動を取ることがいつしか習わしになっていたので、別にそれ以上の説明は必要でなかったからだけれども、その頃彼女は退屈しのぎに神戸へ仏蘭西語の稽古に行っていて、そこで友達になったらしい話しぶりであった。
そもそもの起りはざっと二年も前のことである。
或る日大阪から帰って来ると、ヴェランダで妻と相対している見馴れない一人の客があって、「阿曽さんという方」と美佐子が簡単に引き合わせた。
と云うのは、夫は夫、妻は妻で、めいめい交際の範囲を作って自由な行動を取ることがいつしか習わしになっていたので、別にそれ以上の説明は必要でなかったからだけれども、その頃彼女は退屈しのぎに神戸へ仏蘭西語の稽古に行っていて、そこで友達になったらしい話しぶりであった。