そのぼんやりとしているところに却って余韻があるんだね。
たとえばこんな文句がある、―――」
と、老人はすぐ唄い出しながら、「………『今は野沢の一つ水、澄まぬ心の主にもしばし、すむは由縁の月の影、忍びてうつす窓の内』………それからあとが『広い世界に住みながら』となるんだが、これは男が女の許へ忍んで来るところなんだ。
そのぼんやりとしているところに却って余韻があるんだね。
たとえばこんな文句がある、―――」
と、老人はすぐ唄い出しながら、「………『今は野沢の一つ水、澄まぬ心の主にもしばし、すむは由縁の月の影、忍びてうつす窓の内』………それからあとが『広い世界に住みながら』となるんだが、これは男が女の許へ忍んで来るところなんだ。