千本桜の道行きに似ているちょっと花やかないいもんだよ」
芝居はこの町はずれの空地に小屋がけを拵えて、そこで朝の十時ごろから晩の十一時、―――どうかすると十二時過ぎまでやっている。
とても初めから御覧になるのは大変だから、日の暮れからがちょうどよろしゅうございますと宿の番頭がそう云うのを、いいえ、わたしはこれが目的で来たんだから、朝御飯をすましたら直きに出かけます、お昼と晩はこの重箱に用意して貰いましょうと、それを楽しみの一つにしている老人は例の蒔絵の弁当箱を預けて、幕の内に、玉子焼に、あなごに、牛蒡に、何々の煮しめに、………と、おかずの注文までやかましく云って、それが出来て来ると、