と、お久は照りつけられるのを恐れて手をかざした。
日はそのうすい手のひらの撥だこのある小指の肉を傘の紙ほどに赤く透して、暗く翳っている顔が日のあたっている頤の先よりも一層白い。
どうせ今度は真っ黒に焼ける、傘なぞ持って来ないがいいと云われながら、手提げの底へ忍ばせて来たアンチソラチンを出がけにそっと、顔、襟、手頸、足頸にまで塗っているのを見た要は、この京女が絹ごしの肌をいたわる苦心をいじらしくも笑止にも感じたが、道楽の強い老人はこまかいことに気が廻るようでいて、自分がこうと云い出したら案外そう云う思いやりが乏しいのである。