芝居は大概年に二回、五月と正月とに催されるので、その時分にこの島へ渡れば、洲本、福良、由良、志筑等の町をはじめ、至る所の在所でやっている。
大きな町では常設の小屋を借りることもあるけれど、普通は野天に丸太を組んで莚で囲いをするのであるから、雨が降れば入り掛けになる。
そう云う訳で淡路にはずいぶん熱心な人形気違いが珍しくなく、その道楽が昂じると、一人で使うことの出来る小さな指人形を持って町から町を門附けして歩き、呼び込まれれば座敷へ上ってさわりの一とくさりを語りながら踊らせて見せると云うようなのもあり、人形を愛するあまりには家産を蕩尽するのは愚か、ほんとうに発狂する者さえもある。