屋根にも四方にも莚が張ってあるとは云うものの、莚と莚との合わせ目が隙間だらけで、見物席に日光の斑点が出来、ところどころに青空が見えたり河原の草のすいすいと伸びたのが覗いていたりして、あたりまえなら煙草の煙で濁っている筈の場内の空気が、げんげやたんぽぽや菜の花の上を渡って来る風で野天のようにカラリとしている。
場席の平土間にあたる所は地べたへござを敷いた上に坐布団が並べてあって、村の子供たちが駄菓子や蜜柑をたべながら芝居の方はそっち除けに、そこを幼稚園の運動場のようにして騒いでいる様子は、やはり里神楽の情趣と変りはない。
「成るほど、これは又文楽とは大分違うね」