見わたしたところ、追い追い客が詰まって来た土間の彼方此方には、思い思いに輪を作って小さな宴会が始まっていた。
日が高いので男の客は少いけれど、町の女房らしいのや娘らしいのがめいめい子供たちを連れて、中には乳呑み児を抱いたりして、彼処に一とかたまり、此処に一とかたまりと云う風に、ところどころに陣を取っては、舞台の芝居には頓着なく、重箱のぐるりにまどいしながらたべているので、その賑かさ、騒々しさと云ったらない。
ここの小屋でも煮込みのおでんと正宗ぐらいは売っていて、それで酒盛りを開くのもあるが、大部分の人は皆相当にかさのある風呂敷包みを持参している。