―――要はそんなことを考えながら、やがてかすかな鈴の音をあとに立ち去って行く二人のうしろかげを見送っていた。
「はるばると運ぶ歩みは頼もしや法の華さく寺をたずねて」と、ゆうべ宿の主を師匠に、二人が一生懸命に稽古していた御詠歌の文句が思い出された。
老人は昨日、これとお経の読みかたとを習うために惜しいところで妹背山の芝居を切り上げて、九時から十二時近くまで熱心に教わっていたので、要もお附合いに節をおぼえてしまったのである。
―――要はそんなことを考えながら、やがてかすかな鈴の音をあとに立ち去って行く二人のうしろかげを見送っていた。
「はるばると運ぶ歩みは頼もしや法の華さく寺をたずねて」と、ゆうべ宿の主を師匠に、二人が一生懸命に稽古していた御詠歌の文句が思い出された。
老人は昨日、これとお経の読みかたとを習うために惜しいところで妹背山の芝居を切り上げて、九時から十二時近くまで熱心に教わっていたので、要もお附合いに節をおぼえてしまったのである。