やはり人形を愛するように簡単に愛し得られる女がいいのであろう。
要は自分にその真似が出来ようとは思わないながら、何のかのと物の分った顔をして年中ごたごたをつづけている自分の家庭を顧みると、人形のような女を連れて、人形芝居のような扮装で、わざわざ淡路まで古い人形を捜しに来る老人の生活におのずからなる安楽境のあることが感ぜられて、あんな心持になれたらばとも思うのであった。
今日も申し分のない天気ではあるが、こんな時分に遊山に出かける閑人はあまりいないと見えて、遊覧船風にゆっくりと仕立ててある特等の客室は、二階の西洋間の方も階下の日本室の方もガランとしている。