そんなふうだから、世間の景気不景気に拘わらず、此処の家が繁昌する筈はないので、気の利いた女は借金を蹈み倒して逃げてしまう、コックやアマは酒の上り高をくすねる、一時は英領植民地あたりから純粋の金髪種が入れ代り立ち代り来ていたこともあったのが、この二三年は合の児か露西亜人ばかりになってしまって、それも一時に三人以上揃っていることはないのであった。
「マダム、………悲しいのは無理もないが、そう泣いてばかりいて体にさわったらいけないじゃないか。
いつものあなたにも似合わない、元気を出して酒でも飲んでみるといい。