きっともう来ない、―――ボーイに門を開けさせて、表に待っている車の中へ身をひそめながら、いつでも彼は帰りがけにこの決意を堅めて、扉の隙間から接吻を送っている女の顔へ心ひそかに永久の「さよなら」を投げるのであるが、奇妙なことにそれが三日とつづくことはなかった。
三日がやがて五日となり、一週間となるあいだに、再びこの女に会いたい思いが馬鹿々々しいくらい萌して来て、ずいぶん無理な繰り合わせをしてまで一途に飛んで来るのである。
会う前の恋いしさと会っての後の胸ぐるしさ、―――そう云う心の変りかたはこの女の場合に限ったことではなく、芸者と馴染んでいた時分にも少しは覚えのあることだけれども、しかしこんなに冷熱の度が激しいと云うのは、畢竟生理的の原因に依るからなので、それだけルイズは酔わせかたの強い酒なのであろう。