と、彼はそんなことを考えてもみた。
今の自分は誰に遠慮をする必要もないのであるが、彼にはへんに道徳的な、律義なところがあるせいであろうか、青年時代から持ち越しの、「たった一人の女を守って行きたい」と云う夢が、放蕩と云えば云えなくもない目下の生活をしていながら、いまだに覚め切れないのである。
妻をうとみつつ妻ならぬ者に慰めを求めて行ける人間はいい、もしも要にその真似が出来たら美佐子との間にも今のような破綻を起さず、どうにか弥縫して行けたであろう。
と、彼はそんなことを考えてもみた。
今の自分は誰に遠慮をする必要もないのであるが、彼にはへんに道徳的な、律義なところがあるせいであろうか、青年時代から持ち越しの、「たった一人の女を守って行きたい」と云う夢が、放蕩と云えば云えなくもない目下の生活をしていながら、いまだに覚め切れないのである。
妻をうとみつつ妻ならぬ者に慰めを求めて行ける人間はいい、もしも要にその真似が出来たら美佐子との間にも今のような破綻を起さず、どうにか弥縫して行けたであろう。