仕方がない、又ルイズにでも会いに行こうか。
―――彼はそう思ってみて、こう云う時にいつもきまってそんな気になる自分自身が、なぜだか今日は哀れな男に感ぜられた。
たかが相手は一人の娼婦に過ぎないのに、もう二度と行かないの何のと云うむずかしい決心をして、それに囚われるのも馬鹿々々しいと云う風に思い直しては、結局会いに行くことになるのが常であったが、実はそんなことにも増して、妻が出かけて行ったあとの邸の中のガランとした感じ、―――障子や、襖や、床の間の飾りや、庭の立ち木や、そう云うものが有るがままにありながら、俄かに家庭が空虚にされてしまったようなうら淋しさ、―――それが何より堪え難かった。