妻がこのごろのあわただしさの中にありながらなおときどきは四季の風情を座敷に添える心づかいを忘れないのは、いくらか惰勢で繰り返しているのだとしても、やがてこの部屋にあの花までがなくなってしまう日を想うと、名ばかりの夫婦と云うものにも、朝夕眼に沁みる柱の色と同じようななつかしさがある。
「お小夜、タオルを熱くして絞って来てくれ」
と、要は立って女中部屋の方へ聞えるように云った。
妻がこのごろのあわただしさの中にありながらなおときどきは四季の風情を座敷に添える心づかいを忘れないのは、いくらか惰勢で繰り返しているのだとしても、やがてこの部屋にあの花までがなくなってしまう日を想うと、名ばかりの夫婦と云うものにも、朝夕眼に沁みる柱の色と同じようななつかしさがある。
「お小夜、タオルを熱くして絞って来てくれ」
と、要は立って女中部屋の方へ聞えるように云った。