きょうはお客がお客なので床の間に活けた姫百合の花の向きを気にしながら、お久は今朝からときどきそれを直していたが、四時が少し廻った時分に門の青葉をくぐって来るパラソルの影を、二た間を隔てた伊予すだれの此方から眼に留めると、そのまま立って縁側を降りた。
「見えたかえ」
と、昼寝のあとを庭で蓑虫を退治していた老人は、うしろに庭下駄の音を聞きつけて云った。
きょうはお客がお客なので床の間に活けた姫百合の花の向きを気にしながら、お久は今朝からときどきそれを直していたが、四時が少し廻った時分に門の青葉をくぐって来るパラソルの影を、二た間を隔てた伊予すだれの此方から眼に留めると、そのまま立って縁側を降りた。
「見えたかえ」
と、昼寝のあとを庭で蓑虫を退治していた老人は、うしろに庭下駄の音を聞きつけて云った。